2025-11-01から1ヶ月間の記事一覧
緘動を初めて突破したのは、突然のことだった。 体育の授業では、1か月後のスポーツ大会に向けて、大繩飛びの練習が始まっていた。今年のスポーツ大会は例年のビーチバレーボール大会とは違い、本格的な「スポーツ大会」へと進化するらしかった。それを司っ…
こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、NiziUの「Step and a step」。 14歳の私から、お便りが届いています。 ど…
高校3年生の6月、入学してから初めて、マスクを外して登校してみることにした。 本当は、修学旅行や体験学習の翌日から、マスクを外して登校したかった。でも生憎、そうした宿泊行事の後は風邪が蔓延し、マスクの着用を義務付けられることが多かったのだ。…
体験学習という名の、宿泊行事に参加した。2泊3日の予定を無視して、2日目に途中退場した去年とは違い、今年は全部参加することにした。 修学旅行で3泊4日、沖縄まで行ったのだ。去年に比べて不安度は下がっていた。 最後の宿泊行事だ。なるべく悔いのな…
3年生の春、響ちゃんに、「かるた同好会入らない?!」と訊かれた。あまりに突然のことで何も返せずにいると、彼女ははっと我に返ったように「あ、ごめん、ごめん。突然すぎたね」と言ってその話は終わった。 正直、私は驚いていた。 部活に入るという選択肢…
高校2年生の終わりから、高校入学以降初めて体育に参加しては、授業後に保健室に運ばれることが続いた。 みんなの前で動くことに対して、それほどの恐怖を感じていることに、そうなって初めて気が付いた。 走れるような気さえしたのに、いざ動いてみると脚…
こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、SEKAI NO OWARIの「バードマン」。 15歳の私から、お便りが届いています。…
卒業式というものに参加するのは、小学生以来だった。春の匂い、卒業生たちの笑い声。何度迎えても懐かしさの感じない、息の詰まるような雰囲気。それでも逃げたらダメだと、何とか今日まで命を繋いできた。 寂しさなのか、感慨なのか、涙を流す卒業生を見て…
「もっと大きな声で」 「ほら、声出して!」 そんな教師の声が響く教室で、私は萎縮したまま動けなかった。 「話す」と「歌う」はまた違うものだ。 数週間後にある、3年生の卒業式。そのために在校生たちが式の練習をする時間だった。 唯一、私に声を強要し…
ドーナツは、人を幸せにする食べ物だと思っていた。 高校2年生の冬だった。 定期テストが終わり、教室は達成感で包まれていた。そんな中、担任の菊池先生が「ご褒美に」と言って、ミスタードーナツのドーナツを、2箱分ほど買ってきたのだ。 糖分を欲していた…
修学旅行3日目。3つのコースに分かれて、体験メニューをすることになっていた。 私は朝、菊池先生とも斎藤先生とも、響ちゃんたちとも別れることに大きな不安を抱いていた。菊池先生は体育教師のためマリンスポーツコースで、斎藤先生も養護教諭のためマリン…
旅に出た。 それはそれは、大きな旅に。 人生で、初めて行く沖縄だった。 正直、あの日々を思い出してこれを書くのは、苦しい作業だった。無理をしすぎた私はあれから2年近く経った今でも、沖縄の思い出に苦しみ続けている。 さて、何から書こうか。色々なこ…
『部屋の隅に置かれたままのスーツケース 旅に出る直前になっても まだ空っぽ 綺麗なミントグリーン あれは私のお気に入り 旅支度が楽しいのは 楽しい旅に限った話だったみたい カラカラひいて駅を歩けば すこし大人になれる気がする そうしたら 外で泣くこ…
クラスメイトの響ちゃんから映画に誘われたのは、高校2年生の11月のことだった。 最初に思ったのは、「まさか私が?」ということだった。 響ちゃんは私から見るに、明るくて、他クラスにも友達が多い。 映画を観に行く相手なんて選べるほどいるはずなのに、…
実は、夏休みから私が声を取り戻し始めたのは、ある目的があるからだった。 ある目的。それはつまり、2年生の1月に控えている、修学旅行だ。 3泊4日の修学旅行までに、なるべく話せるように、笑えるように、動けるようになりたい。ごはんだって、みんな…
H学園には、カウンセラーの先生が何人かいて、多くの生徒が定期的にカウンセリングを受けていた。 1年生の頃から私を担当してくださっていた矢代先生とは、すべて筆談でやり取りしていた。観ているドラマの話とか、SEKAI NO OWARIの話とか、多岐にわたる話…
こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、SEKAI NO OWARIの「Dragon Night」。 15歳の私から、お便りが届いています…
自分の文章を読んで、「まるで場面緘黙症が意思を持って生きているみたいだ」と思ったことがある。 それは漠然とした私の表現だったが、きっと自分でもコントロールできない症状に悩まされていたから、そういう感覚が生まれたのだろう。 場面緘黙症と「出会…
H学園では毎年7月に、学校近くのスポーツセンターを借りて、スポーツ大会という名の、ビーチバレーボール大会が実施される。去年はクラスTシャツに着替えることもできなかった悔しさから、今年は着替えて、ちゃんと写真を撮ろうと意気込んでいた。 あらか…
H学園は、毎年栃木県に体験学習という名の宿泊行事に行っていた。 去年はコロナの影響で宿泊行事は中止になったが、今年はついに実施されるという。 宿泊行事というものに参加するのは、小学校の修学旅行以来、実に5年ぶりだった。 元々、2泊3日の体験学習だ…
小中学校の家庭科で、「みんなで食べるごはんは美味しい」と習ったことがある。 けれど、それができなくなった。高校2年生の春だった。 会食恐怖症を知っているだろうか。 会食恐怖症とは、人前で食事をすることや、レストランなどで食事をすることに強い恐…
こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間になりました。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、SEKAI NO OWARIの「Fight Music」。 14歳の私から、お便りが届い…