こころの声を綴って ー場面緘黙症と歩む日々ー

場面緘黙症を含めた不安障害とうつ病、SEKAI NO OWARIについてなどを書いていきます。

救われた音の記憶 #17 『MAGIC』

こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、SEKAI NO OWARIの「MAGIC」。 19歳の私から、お便りが届いています。 「こ…

創作コンクール

9月の始めに、大学の図書館が主催する創作コンクールに短編小説と詩を応募してみることにした。 小説は書き上げていた長編から抜粋し、詩は中学生の頃から書き溜めたものを手直しして、締め切り当日に送信した。 結果発表の日。私はセカンドオピニオンで新…

死後を生きる

私が死んだら、お葬式には誰が来てくれるのだろう。先生や友達は、私を救えなかったことを一生後悔するのだろうか。 遺影にできそうな写真を、スマホのアルバムから探す。 今死ぬなら、これがいい。 でも、勝手に選ばれた写真が気に入らなかったらどうしよう…

1年ぶりの読書

うつ病を発症してからというもの、私は読書ができなくなった。 文字が読めない。何の比喩でもなく、本当に文字が文字として認識できないのだ。こんな意味不明な暗号を、何時間も読み続けることなんてできない。私は、読みかけていたすべての本を栞で閉じた。…

うつと不安の違い

まずうつがやって来る時は、背後から。何かの拍子にすっと背後にやって来て、大きな手で私の顔を覆う。そうするともう、普通の世界は見えなかった。うつが創り出した幻像。ここは出口のないトンネルで、そこに死ぬまで閉じ込められているような感覚に陥る。…

初めての美容室

人生で初めて髪を染めようと思ったきっかけは、母からの勧めだった。 「染めてみたら?似合うと思うよ」 正直、「そんな簡単に言われても……」と思った。髪の毛を染めるということは、美容室に行き、美容師さんといくつもやり取りをして、長時間椅子に縛り付…

ダイエット

まずい。ダイエットをしないと。 本気でそう思い立ったのは大学1年生の秋頃だった。 体重計に乗って絶望する日が続いた。 飲んでいる薬の副作用で、息をしているだけで太っていく。また時には抗えない過食の波がやって来て、気持ち悪くなるまで食べ物を体に…

救われた音の記憶 #16 『Fanfare』

こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、TWICEの「Fanfare」。 19歳の私から、お便りが届いています。 うつ病で大…

高校時代のお守り

高校生の時、沖縄に修学旅行に行った際、美ら海水族館で担任の菊池先生にカメのぬいぐるみキーホルダーを買っていただいた。クラスメイトだった響ちゃんたちと、お揃いのキーホルダーだ。 私は修学旅行から帰って来てから、ずっと通学用の鞄にそのキーホルダ…

苦しい時の過ごし方

うつ病でどうしようもなく苦しんでいた時、藁にも縋る思いで色々なことを試した。 緊張しながら鍼やお灸治療に行き、カイロプラクティックに行き、整体に行き、ヘッドマッサージも受けた。著名な精神科医が書いた本をいくつも母が買って、調べてくれて、「い…

休学

後期が始まっても、私の大学生活は停滞していた。 履修登録はしたものの、いざ授業がある日の朝になると動けない。今から電車に乗って、大学に向かう。大学に向かう。そのことが、言ってしまえばそのことだけが、涙が出るほど怖くてたまらなかった。 それで…

独りじゃなかった文化祭

文化祭の朝は、父が車で高校まで送ってくれた。 くじ引きの接客は男女でローテーションすることに決めて、女子は法被のようなものを来て先に接客することになった。お店の奥には、景品であるランチボックスやピーラー、おろし金や自転車までもが律儀に並んで…

置き忘れたものを探しに

大学1年生の秋。後期が始まったが、私は大学に行けなかった。 あの地獄のような前期を越えて、夏休みを経てもなお、傷は癒えなかった。体調も整わず、大学のことを考えるだけで、怖くて涙が止まらない。 さて、私は、どうすればいいのだろうか。 そんな路頭…

できたことしか残らない

みんなと同じ空間の中で、私だけ一人別の時間を過ごしていた。 それは、みんなと同じ教室にいても、グラウンドにいても、見えている世界が違うようだった。その世界には、私一人しかいなかった。 声のない世界。自由に動けない世界。永遠に、何かに縛られ続…

救われた音の記憶 #15 『私が選んだもの』

こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、『ユイカ』の「私が選んだもの」。 19歳の私から、お便りが届いています。…

ブログを始めた理由

ブログを始めることになったきっかけは、深夜の母との会話だった。 不安で眠れない夜。翌日は、妹の高校の体育祭だった。私には楽しめなかった行事を心待ちにする妹を見て、胸がざわざわと不穏な音を立てていた。「大丈夫。私とは、関係のないことだ」と言い…

THIS IS FOR

K-POPアイドルグループ、TWICEのライブに行ったのは、8月の下旬だった。2025年から始まったワールドツアーのタイトルは、「THIS IS FOR」という。 弟の葵はONCE(TWICEのファンネーム)だ。私も、ONCEと公言こそできないものの、TWICEの曲はほとんど知ってい…

インスタの葛藤

大学の夏休みが始まって最初にやったことは、人生で初めてのアフタヌーンティーに行くことだった。 電車に乗って、都会に出る。母と、妹の蘭との3人だった。 アフタヌーンティーでは蘭の指示のもとたくさん写真を撮った。これじゃあまるで、食事よりも写真…

最後の家族旅行

大学4年生の兄は、来年から就職する。そして同時に、一人暮らしを始める。 14年間、この6人家族で生きていた私にとって、それはとても寂しい現実だった。 夏休みに、私たちは最後の家族旅行だと覚悟して京都に行った。 私の体調のこともあり、新幹線や飛行…

体重との闘い

高校3年生の冬頃から、体重は増えていく一方だった。 飲んでいる薬の副作用で、息をしているだけで太っていく。それに多大なストレスを感じながらも、健康を優先するほかなかった。決してカロリーの高いものばかり食べていたわけじゃないし、むしろ食事には…

前期終了

前期のラストスパートは、もう生きた心地がしていなかった。 自分の力で登校できる元気もなく、父に車で送迎してもらうことが多くなっていた。 月曜日。中国語のテストを受けた。再履修というペナルティーに怯え、働かない頭に無理やり詰め込んだ知識は、ほ…

救われた音の記憶 #14『深海魚』

こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、SEKAI NO OWARIの「深海魚」。 19歳の私から、お便りが届いています。 オ…

麻辣湯とかき氷

高校時代の友人、響ちゃんに「麻辣湯食べに行こう」と誘われたのは、生きることに限界を感じていた頃だった。生きていく気力もなかった私だったけれど、久々の友達からの誘いに少し心が躍った。響ちゃんとだったら遊べるかもしれないと思い、自分を奮い立た…

自殺未遂

※自傷・自殺に関する表現が含まれます。 大学に行き、勇気と元気を使い果たして、課題に追われる日々。逃げたくても、どうしても、逃げられなかった。進む勇気も、逃げる勇気も、持ち合わせていなかったのだ。 絶望的に、思った。こんな日々が、いつまで続く…

遺書

私は高校生の頃、遺書を書いた。 気を抜けば、ふらふらと死の方へ傾いてしまいそうな時期だった。 いつ終わっても後悔しないように——そう言えば聞こえはいいけれど、実際は、踏ん張る力がもう残っていなかったのだと思う。 もう死んでもいいや。 それは衝動…

消えたいんじゃなくて、死にたい

SNSには、同じような病気と闘っている同志たちがたくさんいる。 彼らは現実の苦しみをネット上で吐き出していた。その多くが、『泡のように消えてなくなりたい』というものだった。 彼らの思考や絶望に共感していた私だったけれど、それだけは共感できなかっ…

大学に入学して2か月近く。私は、歩くのが難しくなった。 どうしても、脚に力が入らないのだ。薬の副作用でふらふらして、体から力が抜けていく。 大学の帰り、最寄り駅まで帰ったものの、駅の構内に蹲って、動けなくなってしまった日があった。母に連絡をし…

会えなくなるから

『何がそんなに苦しいの』 高校時代の担任である菊池先生と連絡を取っていた時、つい苦しみを漏らしてしまった。大学が苦しいと嘆く私に、先生はそう訊いた。 一日中、「苦しい、苦しい」と思っていた。それは偽りのない事実だ。でも、いざ「何が」と問われ…

救われた音の記憶 #13『サザンカ』

こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。 このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。 今回のゲストは、SEKAI NO OWARIの「サザンカ」。 18歳の私から、お便りが届いています。 …

マイクとシーサーと車椅子

「はい、もっと大きな声で」 広い教室の隅で、私にマイクが向けられた。 私は数秒間凍り付いた。 韓国語の授業中だった。 先生がマイクを持って、発音の確認に教室を回る。一人一人にマイクを向け、上手くできたら次の子に移る。 指定された単語を一度読んだ…