中学1年生の4月25日。私は、女子バスケットボール部に入部した。
理由は、主に2つ。一つは、同じ小学校から来た同じクラスの女の子が、バスケ部に入ると聞いたから。そしてもう一つは、妹がバスケを習っていたからだ。
同じ小学校から来た、同じクラスの女の子――翼ちゃんは、元々バスケを習っていたから、バスケ部以外の選択肢は持っていなかったようだった。仮入部期間も毎日のようにバスケ部に行き、知り合いの先輩も増えていた。
そんな彼女は、私の入部を快く歓迎してくれた。毎日同じ朝練に行き、同じクラスで授業を受け、また同じ部活に明け暮れるので、必然的に一緒にいる時間は誰よりも多くなった。
今年度、女子バスケットボール部に入部した新入生は私を含めて8人。バスケ経験者は、翼ちゃんだけだった。出身小学校もクラスもバラバラだったけれど、最初は仲良くやれていた。最初は。
年頃の女の子が8人も揃っているのだ。徐々にひずみが生まれるのも無理はない。
けれど、部活が本格的に始まり、入部して数か月も経たないうちに、「無理がある」程度のひずみが生まれ始めた。
例えば、試合の待ち時間に、8人全員で雑談をする。それは「この間のテスト、難しすぎなかった?」とか、そうした他愛もない話であることがほとんどだった。
けれど、その中の一人がお手洗いに行く。すっと輪から消えると、話の矛先は彼女に向いた。
「この前、あの子があんなことを言っていた」
「え、あり得なくない?」
「最低だよね」
途端に、いない子の悪口大会が始まる。それがわかっているから、誰も輪から抜けることができなかった。私も、お手洗いに行きたいのを我慢して、彼女たちの悪口大会に笑って合わせていた。悪いことをしている自覚はあった。でも、合わせて笑っていなければ、次に笑われるのは自分だと知っていた。綺麗事だけでは生きていけない世界だった。
唯一同じ小学校出身で、親同士も知り合いの翼ちゃんは、バスケ経験者ということもあり、1年生の中でも少し異質な存在だった。誰もが、彼女と仲良くしたがった。一緒に登下校をしながらも、翼ちゃんはだんだん、私の元から離れて行った。
私は、部内でも一人になっていった。練習で2人組を作る際、勇気を出して「一緒にやらない?」と声をかけてみるも、「あ、ごめん。もう決まってるから」と断られることがほとんどだった。彼女たちは一人になることを恐れるあまり、前日の夜から明日ペアになりたい子の「予約」をしていた。だから私は一人、先輩とペアになることが多かった。
誰にも必要とされず、感じる孤独は日に日に大きくなる。生きている意味なんて、どこにあるのだろう。
――学校の前に広がる道路。車が行き交う様子を見ながら考えていた。
死って、こんなに目の前にあるのに、意外とわからないものなんだなぁ、と。
この一歩を踏み出せば死ねるのに、この一歩を踏み出せないから生きちゃうんだ。
苦しいんだ。
車の波が止まった。私は慌てて、横断歩道を渡った。