こころの声を綴って ー場面緘黙症と歩む日々ー

場面緘黙症を含めた不安障害とうつ病、SEKAI NO OWARIについてなどを書いていきます。

部活ノート

  

 「部活ノートを書きなさい」

 顧問の先生にそう言われたのは、入部して数週間後のことだった。

 部活ノート。日々の練習の反省や成長を綴る。試合の際は、どの学校と対戦して、結果が何対何で、先輩たちがどのような動きをしていたかをすべて記入しなくてはいけなかった。自分が、全く試合に出ていなくても。

 けれど驚いたのは、試合や練習がない日でさえ――休みの日まで、ノートを書かされることだった。明日の部活を憂い、夜、机に向かって、ペンを持つ。でも、そこまでしても、ペンが動くことはなかった。休みの日くらい部活から離れていたいのに、書かなければ明日の部活には行けない。部活ノートのネタを絶やさないために、休みの日でも自主練を怠ることはできなかった。私は無理やり言葉を絞り出し、ノートに数行の文章を書いた。読み返してみると、同じことを引き伸ばしているような文章で、納得はいかなかった。でも、これ以上は思いつかない。そもそも、休みの日に部活に関することを強制されるのは筋違いなんじゃないか……と愚痴のように思った。

 更に大変だったのは、そのノートが毎日提出だったことだった。朝登校すると、体育館に置いてある机の上に部員全員のノートが積まれている。先輩たちが1年生のノートを勝手に広げ、「わー、字が綺麗!」と言っているのを見て、何となくモヤッとした。先生だけに見せるつもりで書いた文章が、部員たちに勝手に覗かれると思うと、下手なことは書けなかった。何をそんなに書くことがあるのか、同級生に見せてもらった部活ノートには、1ページ分びっしり文章が並んでいた。私はそこまで部活に熱意があったわけじゃないので、彼女たちの熱量についていけないことが多かった。

 難なく部活ノートを書いている彼女たちと、徐々に差が離れて行っている気がした。私はますます、自分が部活に馴染めない存在なのだと実感していった。