こころの声を綴って ー場面緘黙症と歩む日々ー

場面緘黙症を含めた不安障害とうつ病、SEKAI NO OWARIについてなどを書いていきます。

部活に行けなくなるまで

 同級生のトラブルに巻き込まれ、先輩の顔色を窺い、顧問の先生に怒られる。当たり前のように、そんな日々を送っていた。

 次第に、学校のことを、部活のことを考えると胸に恐怖感や嫌悪感が走るようになった。小学生の時とは違う、圧倒的な嫌悪感。

 私は、時計を確認した。もうすぐ、部活に行かないといけない時間だ。

 もう、無理かもしれない。でもダメだ。もぐら叩きのように、次々と出てくる弱音を潰していく。

 今日は、どんな話があるのだろうか。どんな怒られ方をするのだろうか。

 想像するだけで足がすくんだ。

 

 無理だ。行けない。と結論を出したのは、ようやく結論を絞り出せたのは、家を出る予定時刻の直前だった。

 用事があり、外出していた母にLINEを送る。これが、躊躇い、葛藤した時間なんて微塵も感じさせずに母の元に届くのだと思ったら、何だか悔しかった。

「部活、休みたい」

 スマホに涙が落ちて、そこから液晶の模様が浮かぶ。

 母からの返信は、すぐに来た。

『わかった』

『翼ちゃんに連絡して』

『学校に電話するから』

 事務的な言葉の連続に、苦しくなった。母が今、どんな気持ちでいるのかわからない。怒りを抑え込んでいるのか、それとも本当に何も思っていないのか。どちらかわからないことが余計に苦しかった。ただ、私にがっかりしているのだけは、手に取るようにわかった。

 多少嫌味が含まれていても、「また休むの?」とか「いい加減、今日は行きなよ」とか、そういうものが送られてくるのだとばかり思っていた。

 でも母は、何も言わずに休みを受け入れてくれた。

 苦しかった。おかしいな、と思う。怒られたわけじゃないし、拒絶されたわけでもない。それなのに、こんなに苦しくなるのはどうしてなんだろう。

 「ありがとう」と打って、でも一つのボタンを押せなかった。

 ただ、自分が発した言葉が、あまりにもシンプルで、残酷すぎた。

 

 最難関と言われる1年生の夏休みに入り、次第にそんな日が増えていった。