
SEKAI NO OWARIのライブに行ったのは、そうした心身ともに忙殺されていた日々の中だった。
死にたい気持ちが湧き上がってくるたび、砂漠で這いつくばりながらオアシスを探すように、ライブのことを考えていた。
2019年のツアータイトルは、「The Colors」という。
席は、ステージに近いところだった。前列、というほどじゃないけれど、肉眼でメンバーの表情が見えるくらい。ステージの奥に、大量のテレビを積んだようなスクリーン。正面に大きなシャンデリア。まだ暗闇の中に浮かんでいるセットを見ながら思う。ここにもうすぐ、本物のセカオワが出てくるんだ。3度目のライブだったが、未だ信じられない気持ちが強かった。
ライブ中だけは、現実のことを考えないでいられた。頭の中の重たいことばかりが、一瞬だけ静かになる。無邪気な子供に戻ったように、一曲一曲を噛み締めながら、音が体の中を抜けていった。
ライブの途中のMCで、Fukaseさんが語っていた言葉を今でもよく覚えている。それは、「ふたご」に出てきた月島の言葉とよく似ていた。まるで、ステージの上に時を経た月島が立っているようだった。
「頑張れてないって、頑張れてることよりすごく苦しいんです。頑張れてるって、頑張れないよりも楽なんです。きっと、みなさんの中にも、近い人で、この人ってサボってるように見えるとか、なんか怠けてるように見える。きっと俺もそう見えてた。だから、そういう人たちがもし近くにいたら、もしかしたらこれは怠けてるんじゃなくて、サボってるんじゃなくて、闘っているのか。闘っているのかもしれないと思ってくれる人が一人でもいるだけで、僕はすごく救われると思うんです」
歌うように語るその言葉を聞いて、ぽろぽろと涙が零れた。
数日前に家で震えながら泣いていた自分が、はっきりと蘇る。
私は中学校に入学してから、どこかで泣くことを諦めていた。泣いたところで、苦しい現実は何も変わらないとわかっていたからだ。でも、その糸が急に解けたように、涙が止まらなかった。
誰かに怒られるのではないか、やらなければならないことを放棄して『怠けている』と思われるのではないか――そんな恐れがいつも居心地の悪さを作っていた。明日だって、部活がある。全部を頑張れる保証なんてどこにもない。未来は怖かった。
それでも、Fukaseさんの言葉はそっとそんな心に寄り添ってくれた。
ライブの最後。Fukaseさんが、ステージの方をゆっくり振り返る。
後ろのスクリーンには、「WHAT A BEAUTIFUL WORLD」と刻まれていた。

「WHAT A BEAUTIFUL WORLD」
「なんて美しい世界なんだろう」