
9月21日に、文化発表会を控えていた。
テストの日以来、ずっと登校できていなかったけれど、母と「その日は行く」と約束した。文化発表会は毎年9月に行われていて、去年も一昨年も、その前も、兄の中学校の行事に遊びに行っていた。もしかすると、その行事を境に、学校に行けるようになるかもしれない。行けるようになって欲しい。母がそう願っていることに、薄々気付いていた。
行くつもりだった。文化発表会は文化部の発表や展示が主で、運動部や帰宅部の子たちはお祭り仕様になった学校内を練り歩くだけでいい。あまりクラスに縛られない日だったので、行きやすいかと思ったのだ。
でも、学校には、当然だけど知り合いがたくさんいる。部活の顧問の先生を、先輩を、同級生を、クラスメイトを思い出す。嫌悪感と恐怖感で、気が狂いそうだった。彼らはきっと、今も笑っている。私がいなくなった、あの場所で。私がいなくなったことにも、気付いていないくらい。
膨らむ不安に負け、朝、通学路という戦場に出ることもなく、私は頓挫した。
母は、がっかりしたようだった。言葉として言わなくても、それは態度や表情で嫌というほど伝わってきた。
何で、と思う。私は、怒っていた。自分自身に。
何で、みんなできることが、私にはできないの?
私は、約束を破ったのだ。そんな自分が、許せなかった。