
視線恐怖を感じるようになった。外に出るのが怖い。
視線恐怖。今思えば、あれは社交不安障害の症状だった。場面緘黙症を発症した、小学生の頃から視線恐怖はあったけれど、それが顕著になったのだ。
自転車に乗っている人も、車に乗っている人もみんな、私のことを見ている気がした。冷たい目で、じっと。それは、今までの色々な人の目と重なった。小学生の頃、顔を上げられずにいた私に向かって、「ちゃんと目を見て話しなさい」と注意した教師。中学生になってから、部活でミスをするたびに冷ややかな視線を送ってきた部員たち。どうしてもクラスに馴染めない私を、腫れ物のように扱うクラスメイト。
外出すれば、すれ違うのは、人、人、人。
めまいがするほど、人が怖くなっていた。一人では、怖くて横断歩道も渡れない。
街ゆく人々がみんな私を見ているなんて、そんなことあり得ないのは重々わかっていた。わかっているのに、それでもやっぱり、そう思えて仕方がない。
人々の笑顔も、自分に向けられた嘲笑のようにしか感じられなかった。外に出ると、私はすべての人から睨まれ、笑われる。
人の視線が、皮膚に突き刺さるように痛かった。
だから私は、一人で外に出られなくなった。