こころの声を綴って ー場面緘黙症と歩む日々ー

場面緘黙症を含めた不安障害とうつ病、SEKAI NO OWARIについてなどを書いていきます。

県立精神病院

 中学2年生の2月。当時通っていた駅前のメンタルクリニックから、「転院してみませんか」と提案があった。もうここでの治療は難しいから、思春期外来がある病院に行った方がいい、ということだった。

 提案された転院先は、電車とバスを乗り継いで行く、県立の精神医療病院だった。

 そこは、前の病院とは比べ物にならないくらい広くて、院内には入院しているであろう患者たちも多く見られた。点滴をぶら下げて散歩をしている方もいれば、売店まで看護師さんに付き添ってもらっている方もいた。

 そしてとにかく、待ち時間が長い。自動受付を済ませ、待合室に母と2人で座る。そこから1時間以上は待たないと診察に呼ばれなかった。呼ばれ方も前の病院と違って、受付で示された番号が私の名前代わりだった。なぜ名前じゃなくて、番号なのだろう……と考えて、結論はすぐに出た。そうか、きっとここは、『来ちゃいけない場所』なんだ。来ることが恥ずかしい場所だから、あえて個人情報を他の患者さんに広めないようにしているんだ。そう思うと、ここに通っている自分に対して、どんどん自信をなくしていった。

 診察が終わっても、処方箋をもらうまで、また1時間ほどかかる。母は本を読んだり、スマホを見たりしていたけれど、私は緘黙状態に陥っているので、何もすることができず、ただ1時間に一度動き出す、からくり時計をじっと眺めていた。

 患者さんは、本当に色々な方がいた。暑い夏なのになぜか厚着をしてきて、受付の検温で引っかかる人。待合室の椅子にごろっと寝転んで、いびきをかいている人。とにかくずっと、院内を動き回っている人。

 前の病院では患者同士触れ合うことが一切なかったので、彼らを見ながら「何だか癖が強いな」と思っていた。怖いと感じることは、余程のことがない限りなかった。きっと、はたから見れば私も、「色々な人」に入っていたと思うから。