
中学2年生の夏から、高校見学を開始した。理由は、私が生粋の優柔不断だったからと、専願期間が公立高校よりも早いため、早めに志望校を決める必要があったからだ。
1年生の頃から不登校だった私には、全日制の高校に進学するという選択肢がなかった。内申点もなければ、当日の受験で満足に点が取れる知識も持ち合わせていない。自然と、私の意識は通信制高校に向いていた。
様々な通信制高校に見学に行った。でも、ビルの一室だけの、まるで塾のような高校であることがほとんどだった。幼い頃から、てっきり映画に出てくるような、校舎があり、グラウンドがあり、部活動があるような高校に通うものだとばかり思っていた私は、少々戸惑った。高校から学校に復帰できるなんて、そんな甘い考えを持っていたわけじゃなかったが、何となく、「ここは違う」と感じる学校ばかりに出会った。すべて通信で授業が行われるような学校もあったけれど、そんなところに入学したら、このまま引きこもりになるだけだと思った。また、そういう学校はスクーリングという名の合宿のようなものがあって、それに参加しないと卒業できない。普段登校しない代わりに、全く知らない人たちと寝食を共にする必要があるのだ。それは無理だと、母と同意した。
そんな中、一年間の高校探しを経て出会ったH学園には、小さかったけど、校舎も、グラウンドも、部活動もあった。さらに制服もかわいくて、先生方も優しかった。1組、2組……ではなく、教室の前にはA組、B組……と書かれていた。まるで、ドラマのようだ。そう思った。不登校という私の現実の上で、それでもできる限り理想を詰め込んだような、そんな学校だったのだ。
通信制高校とはいっても、毎日通うタイプの学校だった。もちろん、全日制の高校とはシステムが違うので、最低年に20回ほど登校し、レポートを書けば、卒業することができた。でも、毎日登校できる権利もあった。
机と椅子の脚に、床を傷付けないためか、テニスボールが刺さっていた。そんなことが、やけに印象的だった。
帰り道で決めた。ほぼ直感だった。
「私、ここに入学したい」