
2024年6月7日。
あの日のことは、今でもよく覚えている。
進路先を相談する、最後の三者面談だった。最終的な志望校を伝え、受験に向けて、本格的な話が始まった。
私は、指定校推薦で、F大学への入学を決めた。
その面談の途中から、やけに変な気持ちに包まれていた。それが何なのかはよくわからなかったけれど、決していいものではないことは本能が告げていた。本能的に、反射的に、「嫌だ」という感覚。大学に行くと決めたのは私だ。何度も相談だってした。そうして出した結論、のはずなのに。
H学園を卒業するのは、社会に放り出されるということ。
気付いた時に目の前に広がっていたのは、私の生きたい未来じゃない。
そう解ってしまった。
帰り道、駅のホームで、こころが壊れる音がした。
自分の中で無意識に今まで保ってきたものが、壊れていく。立っていられないほどの何かが背中に重くのしかかっているような感覚。
こころの中は、「嫌だ」という厭悪の究極の形だった。
自分の中で何が起きているのか、わからなかった。
忙しなく頭の中で何かが起きている。絶対に良くない何かが。それは明らかなのに、それを何と呼べばいいのか、何と訴えればいいのか、その時の私にはわからなかった。
何、これ。
それは、今までの場面緘黙症とも、どんな不安障害とも違うものだった。
その日の夜。夕食に出されたピーマンの肉詰めを、私はほとんど食べることができなかった。食欲が異常に失せて、大好きなものなのに食べたいと思えない。昨日までは、普通に食べることができたのに。
さらにその後、もう限界であることを知らせるように、体中にじんましんが出た。
その日以来、どうしても食欲が湧かなかった。
私の扉の前に、もううつがいた。