
学校に行く途中、何度道路に飛び込もうと考えたかわからない。
9月。2学期が始まった。
半袖の制服から出た腕と、スカートのウエスト部分が自分でもわかるほどに痩せ細っていた。
そんな中勇気を振り絞って、一縷の望みに縋るように、保健室を訪れた。
これが最後だ。これが無理だったら、もう最期だ。
保健室を訪れた私を斎藤先生は何も咎めず受け入れてくださった。斎藤先生はいつもそうやって、理由を明確に話せなくても保健室にいることを許してくれる。
「ちょっと、お話ししたいことがあって……」
斎藤先生は、「ちょっと待ってね」と言って、私をベッドに案内し、周りのカーテンを閉めてくれた。
その言葉を口にする時、何だか言ってはいけないことを言ってしまっている気がして、声が震えていた。何か月も、こころの中で蓋をして、しまい込んできた言葉だから、当然かもしれないけれど。
「今、調子が悪くて……ずっと悪くて…………生きているのが、怖いんです」
本当は、「生きているのが苦しい」「死にたいと思う」とまで言いたかったけれど、萎縮してしまい言えなかった。2人きりの空間ならともかく、保健室にはいつでも人が入って来るし、隣のベッドも使われている気配がする。私も、保健室で休む中で、密かに斎藤先生に相談する生徒たちの話を聞いてしまったことがある。聞き耳を立てないようにはしていたけれど、静かで小さな保健室では、すべての声がよく聞こえるのだ。
その大袈裟に言わずとも人生を懸けた告白に、先生は何と答えてくれたか。あまり覚えていないのだ。
でも、「この話を他の先生にしてもいいか」という問いに私は「甘えているとか、弱すぎるとか、思われるんじゃないか」と不安を吐露した。それに対し先生は「この学校の先生は、絶対にそんなこと思わないよ」と答えてくれた。
その時に思った。
ああ、幸せなんだと。私のこと、守ってくれる人たちがいるんだ。今まで見えなかったところに、光が射していくようだった。
私の生きるのが辛い気持ちを、斎藤先生は受け入れてくれた。
何よりそれが、これから生きていくために必要な事実だった。