
うつ病の症状の一つとして、「過食性障害」というものがあるらしい。
その症状を実感したのは、食欲不振がようやく治まってきた頃だった。
家族が全員不在のお昼過ぎ。
ふとお菓子を食べようと思ったのが始まりだった。
お菓子の入っている箱を漁る。テーブルに置かれたパンに目を通す。
そこからは早かった。
スコーン、ベーグル、クッキー、お煎餅、その他も色々。本当に色々。目についたものを、手についたものを、無心に食べ続けた。
「何か変だ」と感じた時にはもう遅かった。
とにかく、何かを詰め込みたい。私は何かに憑りつかれたように、食べ物を頬張り続けた。
心の隙間を、抱えている不安を埋めるように、私は次から次へと食べ物を口に入れた。気持ち悪くなるまで。
食欲が、自分でコントロールできないのだ。初めて感じるその衝動に、驚き、恐怖に包まれた。
抗えない衝動が過ぎ去り、食べ終えてから、酷く後悔した。胃が重くて、気持ち悪い。こんなことなら、食べなきゃよかった。
体重が増え始めた頃からは、さらに体重が増加するのが怖くて、トイレに行って吐こうともしてみた。でもどれだけ口の中に手を突っ込んでも、吐ける方法をネットで検索しても、食べたものは戻って来なかった。
薬の副作用と時折訪れる過食のせいで、半年間で体重が11キロ増えた。
鏡に映る自分が、醜く思えて仕方がなかった。