
入院している間、毎日日記を書いていた。
2日目。あまりよく眠れず、朝6時から採血と採尿をした。ベッドに横になった状態で、照明が眩しいからと言って顔にクッションを当てて採血をしてもらうことを許可してもらえた。人生で初めての採血は、恐れていたよりも痛くはなかった。看護師さんが帰った部屋の中で、一人達成感に包まれていた。「やったぞ」と心の中で小さくガッツポーズをする。泣きそうなくらい怖かったけれど、頑張ったよ、私。
3日目。母が面会に来てくれた。私が入院していた病院が定めていた面会時間は、長くて15分。それが週に1回だけ。毎日、一日中一緒にいた私たち親子にとってその時間はあまりにも短すぎた。でも、私たちがどうあがいたところでシステムが変わるはずもないので、15分の間だけ、入院日にあっさり別れたきりの母と面会室で会っていた。
4日目。辛い時は、ナースコールを押すように言われていた。噂には聞いていたけれど、危険行為をさせないために手首すら巻けないほどの短いナースコール。看護師さんに言えば、頓服のお薬をもらえるから、と。家にいた時は、一日に10錠ほどの頓服のお薬を飲んでいた。でも、不安障害が邪魔をして、他人に助けを求めることができなかった。私が唯一真の自分の姿を見せ、甘え、助けを求められるのは母だけだったのだと、入院してから初めて理解した。ベッドの横のナースコールを握るけれど、押す勇気が出るまでに1時間もかかっていた。
5日目。大晦日。外泊の許可をもらっていた。家に帰り、すき焼きを食べて、紅白歌合戦を観る。楽しいはずの大晦日は、明日病院に戻るという不安に塗れて終わった。