
学校を卒業するたび恒例の「場面緘黙症の私ができたことと、できなかったこと」。今回は高校卒業時点での現実を書きたいと思う。
まず、できたことは、できるようになったことは、他人と話すこと、笑うこと、一人で電車に乗ること、買い物をすることだ。
他人と話すことと買い物をすることは何とかできたけれど、簡単ではなかった。一応表面上はできるけれど、毎回物凄く緊張する。話す相手には私がとんでもない人見知りに映っていただろうし、初めて母のお誕生日プレゼントを買おうとレジにピアスを持って行った時は手が震えていた。それでも、一つずつできることが増えるたび、まるで自分のことのように、時に私以上に喜んでくれる家族や友達がいたことが幸せだった。
高校時代の3年間は、非常に躍進した時間だった。大切な人たちに出会って、伝えたい思いが募り、声を出したり笑ったりする勇気へと繋がった。
電話やインターフォンにも、その時の調子によって出られるようになっていた。
ただ、その時の体調、勇気、雰囲気によってタイミングよく話すことはまだ難しかった。病院でも高校でも、上手く伝えたいことを話せずに泣いて帰って来ることもしばしばあった。
そしてできなかったことは、動くことだ。もちろん、家では自由に動けるのだけれど、高校では結局、緘動が完全に解けたことが一度もなかった。3年生の春、響ちゃんに「卒業までに一緒にバスケしようね」と言ってもらった、彼女は覚えていないかもしれないあの約束は、残念ながら果たされることはなかった。
大学を卒業したら、もっとできることが増えるだろうか。