こころの声を綴って ー場面緘黙症と歩む日々ー

場面緘黙症を含めた不安障害とうつ病、SEKAI NO OWARIについてなどを書いていきます。

できたことしか残らない

 みんなと同じ空間の中で、私だけ一人別の時間を過ごしていた。

 それは、みんなと同じ教室にいても、グラウンドにいても、見えている世界が違うようだった。その世界には、私一人しかいなかった。

 声のない世界。自由に動けない世界。永遠に、何かに縛られ続ける世界。

 自分の右手に、そっと左手を乗せる。そして何かに耐えるように、何かを励ますように、ぎゅっと握っていた。

 私が不安に震えている時、「大丈夫だよ」と言って手を握ってくれる人はいなかった。だからいつからか、私は自分で自分の手を握るようになったのだ。

 私だけが、見える時間。見てきた時間。

 その時間が過去になると、泡みたいに消えてなくなってしまう気がした。まるで最初から、なかったかのように。

 その私の苦労や葛藤を、誰かに知って欲しかった。「できていた」「大丈夫だった」なんて、絶対に言われたくなかった。それは上辺だけの、助けを求められず、死ぬ気で取り繕った私だったから。だからそう言われると、「ああ、何もわかってもらえていない」と落ち込んだ。

 だからといって、苦しかったことを一方的にペラペラと話すのは、自己中だということも知っている。先生や友達を捕まえて、苦労話をするのは、私にはとてもできなかった。「厄介な奴だ」と、嫌われるのが怖かったのだ。

 それでも、知って欲しい。そんな願望が高まり、爆発して、苦しむことが増えた。私はきっと、今までの人生で、一人で生きてきた時間が長すぎた。

 

 だから私は、今日もここに来る。いつかの、消えてしまった時間を取り戻すために。

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