
うつ病でどうしようもなく苦しんでいた時、藁にも縋る思いで色々なことを試した。
緊張しながら鍼やお灸治療に行き、カイロプラクティックに行き、整体に行き、ヘッドマッサージも受けた。著名な精神科医が書いた本をいくつも母が買って、調べてくれて、「いい」とされていることはできる限りやったつもりだ。でも、どれも長続きしなかったし、その理由は緊張する割に効果を感じられないからだった。それどころか、帰り道に疲れ果てて、泣きながらバスに乗り、停留所に着いた後もどうしても死にたい気持ちが消えずに、車が行き交う道路を何分もじっと眺めていたことだってある。今すぐ駆け出して、撥ねられてしまいたい。もう一秒だって生きていたくない。そんな気持ちをぐっと堪えて、地面の上に立っていた。
結局いくつもの経験を経てたどり着いたのは、鍼でもお灸でもカイロプラクティックでも整体でもヘッドマッサージでもなかった。
家で発作的なうつ症状が起きた時は、本物の私にアプローチをかける。本物の私とは、うつに取り憑かれた私の奥に眠っている私だ。どうやら、五感に訴えかけるのが重要らしい。アロマ、保冷剤、テレビを点ける、動画を流す、甘いものを食べる。嗅覚と脳は繋がっているから、特に香りなどの、脳にダイレクトに効くものがよかった。母の声が聞こえていなくても、バラの香りは入っていった。
うつ病の発作は、物凄く体力を奪う。緘黙よりも緘動よりも体力を使った。うつの発作が去った私はもうクタクタで、食事をする元気もなかった。それが数分や数時間では留まらず、数日、時には数週間、数か月続くこともあって、それは言語化することもはばかられるくらいの苦しみだった。
もちろん、苦しい時の最適な過ごし方は同じ病気でも人によって違うだろう。今回書いたのはあくまで私の場合だということを念頭に置いてもらいたい。でもこの経験が、少しでも今苦しんでいる誰かの役に立てばいいと思っている。