こころの声を綴って ー場面緘黙症と歩む日々ー

場面緘黙症を含めた不安障害とうつ病、SEKAI NO OWARIについてなどを書いていきます。

高校時代のお守り

 高校生の時、沖縄に修学旅行に行った際、美ら海水族館で担任の菊池先生にカメのぬいぐるみキーホルダーを買っていただいた。クラスメイトだった響ちゃんたちと、お揃いのキーホルダーだ。

 私は修学旅行から帰って来てから、ずっと通学用の鞄にそのキーホルダーをつけていた。

 何を考えているかよくわからない顔をしているそのカメは、常に不安を抱えている私とは対照的に見えた。

 大学受験の日。行きの車の中で、カメをぎゅっと握りしめていた。

 大丈夫、きっと、上手くいく。

 今日のために積み重ねて来た日々を思い返す。もう何か月も前から、私はこの日をずっと恐れていた。うつがやって来た日のことを思い出す。すべての元凶は大学にあるのだと確信できるほど、三者面談のあの日から体調を崩しながら、受験の準備を進めてきた。

 外部の先生をお呼びして、面接講習会を受けた時、私は一人だけ見学していた。夏休みに面接練習に行った時は、あまりの緊張から練習後にパニックを起こした。

 そんな私が、面接なんて。

 どれだけ薬を飲んでも止まらない不安が、カメを握っていることで徐々に収まっていく。会場には両親も入れないし、知り合いの一人もいなかったけれど、最後まで私のそばにいてくれたのはカメだった。

 大丈夫だよね。きっと、上手くいく。

 彼と目を合わせて、そう思った。

 

 受験だけに限らず、不安なことがあるたびに、私は縋るように鞄からぶら下がっているカメを握った。

 お願い、少しだけ、力を貸して。

 そのカメに触れている間だけ、菊池先生が守ってくれている気がしていたのだ。私は、一人じゃない。そう思うことができたのだ。

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