
まずい。ダイエットをしないと。
本気でそう思い立ったのは大学1年生の秋頃だった。
体重計に乗って絶望する日が続いた。
飲んでいる薬の副作用で、息をしているだけで太っていく。また時には抗えない過食の波がやって来て、気持ち悪くなるまで食べ物を体に詰め込んだ。
でも、「体調がもう少し回復するまでは」と、ダイエットを禁止されていたのだ。体が健康的になった反面、心が荒んでいく私を周囲はなかなか理解してくれなかった。
私は体質的に瘦せ型だった。家族全員そうだ。
弟の葵は、無茶苦茶な食生活をしているのに心配になるくらい細い。彼は本気で悩んでいる私の体型を時にいじって遊んでいた。上機嫌な葵の口から出る言葉は8割冗談なのであまり気にしていなかったが、それでも自分が過去最高に太っているのはよく理解していた。
運動ができるほどの体力がない私がまず始めたのは、食事管理だった。
白米を玄米に変える。ラーメンはしらたきで代用する。間食は極力食べない。
そして同時に、体重増加が副作用の薬を少しずつ辞められた。過食が訪れる機会も、明らかに減っていた。
すると自然に、ゆっくりと体重が落ちて行った。
それでも油断せずに、家族が食べているアイスやお菓子を一人だけ我慢し、調子がいい日はお散歩に行った。
真面目でストイックな性格が実を結んで、数か月間で8キロの減量に成功した。
ダイエットが成功すると、明らかに調子が良くなった。朝から気分さえも軽い。
ただ、うつ病はまだまだ完治していない。これから先も、薬の副作用や病気の症状で体型に悩まされる日が来るかもしれない。その日を密かに恐れながらも、珍しくミニスカートを手にしてみるのだった。