
こんにちは。架空のラジオ番組、「救われた音の記憶」のお時間です。
このコーナーでは、毎回一つ、私が様々な病と闘う中で出会い、救われた楽曲などを紹介します。
今回のゲストは、上白石萌音の「夜明けをくちずさめたら」。
19歳の私から、お便りが届いています。
うつ病の症状で眠れない夜に、私はこの曲を再生します。
眠れない夜は、いつもに増して孤独が押し寄せます。そんな夜に一人で聴くこの曲は、真っ暗な夜空に浮かぶ星のように、そっと私のそばにいてくれました。
『誰もがひとりぼっち やりきれないほど
悲しみがあって でも笑いたくて
悔しさにもたれて 見上げた夜空にくちずさむ』
『きみは月を見てる 涙に負けないように
誰かの手に愛がやどること 願っているんだ そうだろ
ぼくも月を見てる きみとおなじ月を
寂しさこそぼくらのきずなさ
夜明けはきっと来るから』
私にとっての夜明けとは、太陽が昇る、その瞬間のことじゃなかったんです。
例えば無理なく眠れる夜が来るとか、心から笑える瞬間が来るとか。
そんな「夜明け」を信じて、夜空を見上げていました。
夜明けは、きっと来るから。
自分でも不思議なんです。字面だけでは「そんな簡単にいかないよ」と思ってしまう捻くれた私も、その言葉がメロディーと共に訪れたら、自然と頷くことができました。
『それはもうきれいごとだと 嗤うひとたちの言葉に敗れて
分かち合うことをあきらめたりしない
誰かを傷つけたくない
どうかもう震えるその手を
自分で責めたりしないで お願い
みんな みんな 愛されたいと 言えずに生きている』
不安から震える自分の手に向かって、私は責めるような言葉しかかけたことがありませんでした。
「何で止まらないの」「ちゃんとして」「変だ、こんなの」
だからこの歌詞を聴いた時、そんな自分を見透かされたような気持ちになりました。
震え出す自分の手を見た時、「なんで」と思いかけた私は、この歌詞を思い出して、上白石さんの絞り出すような「お願い」という声を思い出して、責める代わりに、そっと手を握ってみるのでした。