
私には幸せなことに、愛する家族が5人もいる。今回は、彼らの紹介をしたいと思う。
父は子育てにはほとんど協力しなかったと母から何度も聞いた。確かに父は仕事に忙しい人で、お世話をしてもらった記憶はほとんどない。肝心な時はいつも酔っぱらっていて、我が家の最高権力者である母に常に叱られている。でも、父は日本の隅まで、私たちを連れ出してくれた。北海道、宮城、山梨、長野、京都、兵庫、大分。いつでも私の世界を広げてくれたのは父だった。
母のことは――なんと言えばいいだろうか。この世の中で一番身近な人だから、言葉にするのはすごく難しい。でも、彼女はとても強い人だ。4人の子供を産み育てた。その中には私のような、病気を抱えた子もいるのに、文句の一つも言わず、日々の家事や育児を何十年も続けてくれた。私は彼女に感謝しかないし、きっとこれからもお世話になることばかりだと思う。私がこの先もっと大人になっても、例えば結婚しても、子供を産んでも、おばあさんになっても、何があっても、母が変わらず母でいてくれることが何より心強い。
一人っ子に比べたら4人きょうだいは一人一人にかけられる時間が4分の1になる。それに寂しい思いをしたことはあった。きっときょうだいたちもそうだろう。リビングに一台しかないテレビだって、自分の好きな番組が見られるのは週に1回だけ。もらったお菓子も取り合いになる。けれど愛情は4倍に膨らんだ。私たちは両親の4倍に膨らんだ愛情を一身に受けて育った。
兄の優は穏やかな人だ。私が知っている人の中で一番と言っていいほど。20年近く一緒に暮らしてきて、彼が本気で怒っている姿を見たことはほとんどない。真面目で、誠実なのに、どこか抜けている。私は兄といる時だけ「妹」でいられるけれど、時に彼は自分より年下のようにも見える。彼は我が家の太陽みたいな存在で、いるだけで家の雰囲気が明るくなるのだ。
妹の蘭は一番歳が近いのもあり、彼女は私にとって友達のような存在だ。もっぱらインドアな私を、蘭はショッピングやカラオケ、映画に連れ出してくれた。彼女は本当に私の妹かと疑うほどに果敢な行動力を持っている。観劇もカラオケもお買い物も、カップルしかいない夜景のクルーズ船にだって、一人で行ってしまう。だから私よりも外の世界の情報をよく知っている。普通の女子高生がやるような、私には縁のなかった世界を、彼女が拓いてくれた。2人でディズニーリゾートに行き、プリクラを撮り、インスタの操作方法も流行りの曲も全部彼女が教えてくれた。そして唯一、真正面から喧嘩することができる相手だ。いい意味でも悪い意味でも、私たちの間には遠慮がない。
弟の葵はいつまでも末っ子な男子だ。口は悪いし、素行は悪いし、頭もあまりよくないけれど、持ち前の明るさは本物だ。不器用な人だけど、根は優しい。いくつになっても、私にとってはかわいい弟だ。彼のことはこの世に生まれた瞬間から覚えている。抱っこをして、お風呂に入れて、手を繋いで家に帰った。泣いている彼を宥めて、悪さをした彼を叱って、大好きな彼を抱きしめた。私はどうやら、葵に対しては半分親のような感情を持っているらしい。
外の世界と断絶していた時間が長かった私にとって、家族がたくさんいるのはこれ以上ない幸せだった。様々な人間関係を学んだ。外の世界の情報を受け取った。時にきょうだいに嫉妬し、時に一人っ子に憧れたこともあったけれど、今なら言える。私はここに生まれてくることができて本当によかったと。