
私は、伝え続けなければいけない。
自分の経験を。それを踏まえた、当時の感情を。
私はずっと、伝えることを諦めて来た。場面緘黙症を患ってから、自分の意思はないも同然だった。伝えられない私の周りからは、人が離れて行くばかりだった。
でも、高校で、伝えられない私にも近付いてくれる人たちと出逢った。話せない私を当たり前のように受け入れてくれた。初めてだった。「話せない」私を認めてくれたのは。声が出ない自分をようやく肯定してもらえたから、きっと声が戻ったのだ。
幼い頃から、社会に適合できなかった。敷かれたレールの上を歩けなかった。
そんな私にできる唯一のことといえば、自分のその経験を発信することくらいしかないのではないだろうか。難なく「普通」の生活を送れている人に、こんな生き方もあるのだと知ってもらうために。私と同じような境遇の人に、「あなたは一人じゃない」と伝えるために。
私も、たくさんの言葉や音楽に助けられてきた。「普通」じゃなかった彼らが、何度も傷付いて、それでも立ち上がって、自身の苦悩を発信してくれたから、私は今生きている。
自分がそこまで誰かの役に立てるという自信があるわけじゃない。ただ、これは恩返しのようなものなのだ。
優しさの連鎖を、途切れさせたらいけない。もし、私の言葉で、救われる人が、「役に立った」と思う人が、「私と同じだ」と思ってくれる人が一人でもいるのなら。その可能性が少しでもあるのなら。
私は、伝えるのを諦めたらいけない。