
春休みの間、少し休息の時間が取れたことで、うつは以前に比べてよくなっていた。少なくとも、一日中唸っているような生活ではない。
でも大学に入学し、オリエンテーションや授業が始まり、徐々に余裕を失っていった。こんな状態で大学生活を送るのなんて無理だ。そう思うのに、休むことができない。
そんな感覚に覚えがあった。高校3年生の夏。心は焦ってばかりいるのに、体が動かない。うつの初期症状と似ていた。
母と相談して、大学に通うのは週に3回にした。月曜日に1コマ受けて、火曜日に2コマ受けて、金曜日に2コマ受ける。それで精いっぱいだった。
学校に行く日は、毎朝、重い体を引きずるようにして家を出る。時に玄関で頓挫する日もあって、単位取得への不安が募るばかりだった。
学校から帰って来て、2階の自室へ荷物を置こうと階段を上る。でも部屋に着く前に、ふと洗濯物がだらりと干されているベランダに目がついた。
私はふらふらと窓を開け、荷物を床に置いて、ベランダに出る。口からは、無意識に「死にたい、死にたい……」という呟きが漏れていた。
ベランダの柵を掴み、地面を見つめる。……ああ。こんな高さから飛び降りたところで、死ねるわけがない。一戸建てに住んでいたからそう思い留まったけれど、もっと高いところだったら、考える余地もなかったかもしれない。
死ぬことがいいことだとは思わない。ただ、もうこれしか、方法がないのだ。
間違いなくうつが悪化していた。母は満身創痍の私を見て、「休んでもいい」と何度も言ってくれた。その言葉にすべて首を振ったのは、紛れもなく私自身なのだ。
止まることが怖かった。鉛のような体を引きずる朝を重ねるたびに、これが無駄になるなんて耐えられなかった。結果に繋がるまでは、すなわち単位が取れるまでは、足を止めたらいけない。