
※自傷・自殺に関する表現が含まれます。
大学に行き、勇気と元気を使い果たして、課題に追われる日々。逃げたくても、どうしても、逃げられなかった。進む勇気も、逃げる勇気も、持ち合わせていなかったのだ。
絶望的に、思った。こんな日々が、いつまで続くのだろうと。
うつ病を発症して、約1年が経った頃だった。
毎日容赦なくやって来る大学生活に疲れ、光の見えない未来に絶望し、私は泣きながら、高校の制服だったネクタイを手にした。
私の部屋の窓には、落下防止の柵が2本ついている。そこにネクタイをきつく巻いて、輪っかに首を通した。本来命を守るためにつけられた柵で命を終わらせようとするなんて皮肉だ。でも、大人の体重を支えてくれるような丈夫な物体は、それ以外に見つけられなかった。
遺書だってある。どうにでもなれ。
首を絞めると、頭全体への血流が止まって、顔が嘘みたいに熱く、赤くなった。息もできない。でも、数分そうしていただけじゃ死ねない。
何度も試みてみるけれど、意識を失うその前に必ずネクタイを緩めてしまった。あんなに死にたかったのに、こんなに死にたいのに、いざとなるとその一歩を踏み出せない自分が、憎らしかった。
よし、もう一度。
最後の呼吸をして、ネクタイに全体重を預ける。脳の血管が詰まったような感覚がした。
母が部屋に入って来たのは、ちょうどその時だった。
「何やってるの?!」と問い詰められ、「もう生きていたくない」と泣き縋った私に、母は怒った。これ以上なく、憤慨した。
「今すぐ救急車呼んで、一生会えなくなったとしても入院してもらう」
ネクタイをひったくるようにして私の手元から奪っていく母。その言葉を聞いて思った。
そんなに、そんなにいけないことなのか。
涙が止まらなかった。
私、どこかで「辛かったね」って、抱き締めて欲しかったんだ。